二十歳位の君へ

昨日、ある関係業者に出向いた。トラブりかけている関係を修復するために。

少し胃の痛くなる仕事だった。

最初は、こちらの立場と原則を話し、それから相手方の話を聞いた。

それを踏まえて、「ここからはオフレコですよ」とお互いに本音の話をし、言えない事

を言い、問題解決の落とし所は見つかった。多少曖昧さを残しつつ。

相手方の表情がホッとしたのを確認した。

そのとき、一番端にいた、上司の目を気にせず、ズバズバと強気に発言していた20歳

くらいの女の子がかすかな声で言った。

「意味わかんない」

そう、君には分かる訳がない。分からないのが正常です。君の意見は正論です。

でも、世の中はまっすぐ走るだけでは、溝に落ちたり塀にぶつかったりして、

大けがをします。

それで大抵の人は道なりに、石をよけて走るようになるのです。

それにしても久しぶりにまっすぐな目をした人を見て、新鮮な気持ちになった。

そのあと、ふと思い出した。

自分が、正論だけでは進まないと本当の意味で気づいた日のことである。

今でもはっきり覚えている。

あの日、ものに対する考え方の方向が決まってしまった。

いいか悪いか未だ分からないが此れでいくしかない。

きっと明日からもそうするでしょう。